歯科麻酔外来

歯科麻酔外来について

歯科治療を受ける際に、麻酔は痛みを和らげ、患者様がリラックスして治療を受けていただけるための重要な手段です。
当院では、患者様一人ひとりの状態や治療内容に合わせて、最適な麻酔方法を選択し、安全に配慮して処置を行っています。

また、歯科恐怖症・嘔吐反射のある患者様にも安心して通っていただけるよう、歯科麻酔外来にも対応しています。
とう言うのも、院長の私自身、嘔吐反射があり口の中を触られる歯科処置が本当に苦手で、それを時間をかけて克服した経緯があるからです。

当院の指針としては、嘔吐反射・歯科恐怖症のある患者様こそ、再治療・やり直しの少ない自費治療を含めた最良の治療を受けていただきたい。
その上で、なるべく負担を少なく定期的なメンテナンスに移行して、歯科恐怖症や嘔吐反射を少しずつ克服し、ダメになったら治療を繰り返す人生から卒業して、継続的なメンテナンスを行うことが重要だと考えます。

歯科麻酔外来で行う麻酔の種類

①表面麻酔・局所麻酔

痛くない治療のために、表面麻酔をおこなった上で歯科治療の麻酔(局所麻酔)を行います。
麻酔で痛みが出る原因は、針のサイズが太いから!
一般的な歯科医院で使用する針よりも細い33Gの針を使用します。
また、体温と同じ温度の麻酔薬だと痛みが起きづらいので、カートリッジウォーマーを用い麻酔薬と体温を近づけることで、痛くない麻酔を提供できるように心がけています。

②伝達麻酔

歯科治療中に痛みがあり辛かった経験はありませんか?
伝達麻酔は、歯科治療において痛みを軽減するために使用される麻酔方法の一つです。
主に歯の神経が通っている部分(神経支配領域)に麻酔薬を注入し、その範囲内の感覚をブロックします。
具体的には、歯の根の近くにある神経に麻酔をかけ、治療中に痛みを感じにくくする効果があります。
特に当院では、親知らずの抜歯をする際に必ず用いるようにしています。
また、麻酔が効きづらい患者様の歯科治療時に効果を発揮します。

伝達麻酔のメリット

◆ 高い効果
伝達麻酔は、特に歯の根の治療や抜歯など、深い部分への治療において効果的です。
麻酔薬が神経に直接作用するため、治療中に痛みを感じることはほとんどありません。

 

◆ 比較的持続時間が長い
麻酔の効果が長時間続くため、治療が終了した後も、治療部位にしばらくの間痛みを感じることなく過ごせます。

 

◆ 局所的な麻酔のため、全身への影響が少ない
麻酔薬が治療部位周辺にとどまり、全身への影響が少ないため、全身的な副作用のリスクが低く、比較的安全に使用できます。

 

伝達麻酔のデメリット

◆ 効果が現れるまでに時間がかかる

伝達麻酔は神経に直接作用する麻酔方法のため、浸潤麻酔に比べて効果が現れるまでに数分かかることがあります。
急な治療を行いたい場合には、タイミングを見極める必要があります。

 

◆ 麻酔後にしびれが長く残る場合がある

効果が長く持続することはメリットでもありますが、治療後もしばらく口のしびれが続くため、違和感や日常生活への支障を感じることもあります。

 

◆ まれに神経への刺激が起こるケースがある

稀に麻酔針が神経に近づきすぎることで、一時的なしびれや軽度な神経障害が起こる場合があります。

麻酔後の注意点

伝達麻酔後は、麻酔が効いている間に舌や頬を噛まないように注意してください。
また、麻酔が切れる際に、治療部位に痛みや不快感を感じることがありますが、その場合はご遠慮なくスタッフにお伝えください。
必要に応じて、鎮痛剤の処方や追加の麻酔を行います。

③静脈内鎮静法

歯科治療に対して強い不安や恐怖を感じる方には、静脈内鎮静法を検討することがあります。
点滴で軽い鎮静剤を投与し、リラックスした状態で治療を受けていただけます。
記憶があまり残らないため、治療に対する不安を大幅に軽減できます。
特に、親知らずの抜歯・インプラント治療などの侵襲の高い外科治療時に併用することで不安な気持ちや手術中の恐怖心を取り除くことができます。

 

※当院での静脈内鎮静法の治療は自費治療のみの提供となります。

静脈内鎮静法

当院では静脈内鎮静は、自費治療にて行っております。
親知らずの抜歯インプラント治療のオペ・歯周外科治療の際に静脈内鎮静法を選択することができます。
当院の静脈内鎮静法は、日本歯科麻酔学会の認定医の先生が来院している日時で行っております。
詳しくは、当院に受診の上、治療計画を立てて、歯科静脈内鎮静が必要かどうか診断した上で行います。
まずは、受診していただいてご相談ください。

※保険診療と自費診療を同日に行うことは、混合診療とされ、禁止されています。

当院ではそのような混合診療は行っておりませんのでご承知ください。

静脈内鎮静法の
メリット・デメリット

メリット

◆ 不安や恐怖を軽減

静脈内鎮静法は、歯科治療に対する強い不安や恐怖を和らげるため、恐怖症がある方や過去に歯科治療で痛みや不快感を経験した方に特に有効です。
治療中はリラックスした状態で過ごすことができ、精神的な負担が大幅に軽減されます。

 

◆ 痛みを感じにくくなる

鎮静剤を使用することで、治療中の痛みをほとんど感じなくなります。
また、必要に応じて局所麻酔を併用することで、痛みのない治療が可能です。

 

◆ 記憶が残りにくい

鎮静で使用する薬の作用に健忘効果があり、治療前後・治療の過程や時間の感覚があまり残らないことが多いため、「治療が長く感じた」といった不快な記憶を持ち越すことがありません。

 

◆ 複数の治療を同時に行える

リラックスした状態で治療を受けられるため、長時間にわたる治療や複数の治療を効率よく行うことができます。
これにより、何度も来院する必要がなくなる場合もあります。

 

◆ 嘔吐反射があり治療が困難な場合

鎮静で使用する薬剤には、嘔吐反射を抑制する成分が含まれております。

デメリット

◆ 治療後に眠気やぼんやり感が残ることがある

鎮静剤の効果が切れるまで数時間、眠気やぼんやりとした感覚が残ることがあります。
当日は重要な予定を入れたり、車・自転車などの運転をする事はできません。
治療当日は十分に休んでください。

 

◆ 意識が完全に失われるわけではない

静脈内鎮静法では、患者様はリラックスした状態で意識はありますが、深い眠りには至りません。
治療中でも会話が可能ですが、恐怖感や不安を感じにくくなり、治療への抵抗が減ります。

 

◆ 個人差がある

静脈内鎮静法の効果は個人差があり、薬剤に対する反応が異なることがあります。
まれに、十分に効果が得られない場合があり、その際は他の麻酔方法を追加で使用することがあります。

 

◆ 費用が高くなることがある

静脈内鎮静法を使用する場合、通常の治療費に加えて鎮静剤や点滴の費用が発生するため、他の麻酔方法に比べて費用が高くなることがあります。

治療の流れ

01 事前カウンセリング

治療前に、患者様の健康状態や治療内容について詳しくカウンセリングを行い、静脈内鎮静法の適応を確認します。
治療中のリスク低減のために、病歴やアレルギーについてもお伺いしますので、正確にお答えください。
特に卵・大豆アレルギーと緑内障の患者様は要注意です。
薬の投薬容量を決めるため身長と体重をお伺いしますのでご承知ください。

※この日に処置の代金はお支払いをお願いしております。
これ以後の予約のキャンセル・変更に関しては、キャンセル料が発生しますのでご注意ください。

02 当日カウンセリングと血圧・SpO2の測定

当日は、12時間前の飲食・6時間前の飲水ができません。
これが守れない場合は、当日の処置は中止いたします。
また、摂食制限ができてない状態で処置を行うと、誤飲・誤嚥による事故が起こる可能性がありますので、必ず確認いたします。

血圧・SpO2の測定器具を装着し、モニターを行うことで当日のお身体の状態を把握し、問題なく処置を行えるかを確認します。

03 点滴の確保・鎮静剤の投与

治療当日、静脈に点滴針を挿入し、鎮静剤をゆっくりと投与します。
薬剤が効き始めると、リラックスした状態となり、心地よい眠気を感じることが多いです。
静脈内鎮静の目的は、術中の記憶を無くすことが目的ではありませんので承知ください。

04 治療開始

患者様がリラックスしている状態で、歯科治療を開始します。
治療中もモニタリングを行い、患者様の状態を確認しながら進めます。

05 治療後の回復

治療終了後、鎮静剤の効果が切れるまで、少しの間お休みいただきます。
その後、状態が安定したら、帰宅していただきます。
当日の運転は禁止です。
車で帰宅される場合は、必ず付き添いの方にお迎えをお願いしています。

静脈内鎮静法を使用することで、痛みや不安を軽減し、より快適に歯科治療を受けていただけます。
ご不明点や心配事があれば、スタッフにお気軽にご相談ください。

著者画像

著者:西垣 友裕

◆所属学会:日本歯周病学会
◆参加勉強会:
アストラテックインプラント研修会
ノーベルバイオケアインプラント研修会
ストローマンインプラント研修会
東京SJCD (日本臨床歯科学会)ベーシックコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオアドバンスコース
エムドゲイン歯周組織再生療法コース
Ivoclar Vivadent I P S Empress コンポジットレジン審美修復コース
IPRT 歯周再生療法マスターコース
その他多数の勉強会・ウェビナーに参加

◆海外の勉強会
EUROPEAN ASSOCIATION OF OSEEOINTEGRATION (ヨーロッパインプラント学会) Paris
ITI (インプラント学会) World Symposium   Switzerland Basel
AAP(アメリカ歯周病学会) San Diego