
小児矯正
小児矯正について
「矯正は大きくなってからでいい」と思っていませんか?
実は、成長期にこそ介入できるのが小児矯正。
歯並びだけでなく、呼吸や姿勢にも関わる“未来を守る矯正”です。
将来の歯と健康を育む「小児矯正」という選択
小児矯正とは? 〜成長を活かした治療〜

小児矯正とは、子どもの成長段階に合わせて歯並びや顎の発育を整える治療法です。
大人の矯正と違い、顎の骨が柔らかく成長途中であることを活かして、抜歯や大がかりな処置を避けながら、自然なかたちで理想の咬合に導いていくのが特徴です。
近年、やわらかい食事・長時間のスマホ使用・口呼吸・姿勢の崩れなど、現代特有の生活習慣が歯並びや顎の成長に悪影響を与えるケースが増えています。
歯並びの乱れは見た目だけの問題ではなく、咀嚼・発音・呼吸・睡眠の質にまで影響することがあります。
生活習慣にも着目した“根本から整える矯正”
小児矯正では、こうした背景を踏まえ、歯並びの原因となる“クセ”や“生活習慣”にも着目します。
たとえば、口がポカンと開いている、頬杖、指しゃぶり、片側で噛むなどの癖を早期に発見し、改善していくことが非常に重要です。
治療は、装置を使った顎の拡大や歯列の誘導に加え、MFT(口腔筋機能療法)などを取り入れながら行うことが多く、子ども自身が「自分の口を育てる」意識を持つことがポイントです。
矯正は「歯並びを整える」だけでなく、「子どもの健康を整える」選択肢。
未来への投資として、小児矯正を前向きに検討してみてください。
小児矯正のメリット・デメリット
小児矯正は「早く始めたほうがいい」と言われますが、本当にそうでしょうか?
そのメリットとデメリットを正しく知ることが、お子さまに最適な選択につながります。
矯正治療は、健康や生活習慣の改善にもつながります
メリット
◆ 顎の成長を利用できるため、歯が並ぶスペースを確保しやすい
◆ 将来的な抜歯や外科的処置を避けられる可能性が高まる
◆ 口呼吸・舌癖・頬杖などの悪習癖を改善できる
◆ 呼吸・姿勢・睡眠の質の向上にもつながる
◆ 見た目だけでなく、健康面にも良い影響を与える
◆ コンプレックスの予防や自己肯定感の向上にも効果的
デメリット
◆ 治療期間が長くなることがある(成長に合わせた通院が必要)
◆ 装置の管理やトレーニングには親子の協力が欠かせない
◆ 生活習慣の改善(MFTなど)への取り組みが不十分だと効果が出にくい
◆ 永久歯が生えそろった後に、再度矯正が必要になる場合もある
◆ 「1回で完了する治療」とは限らないため、継続的なサポートが重要
小児矯正は、歯並びだけでなく将来の健康や心の成長にも関わる大切な治療。
お子さまのタイミングに合わせて、慎重に判断していきましょう。
小児矯正の必要性
歯並びの乱れは、単なる見た目の問題ではありません。
小児矯正は“歯を動かす治療”ではなく、“子どもの健やかな成長を守る選択肢”なのです。
小児矯正が必要とされる本当の理由
小児矯正は、単に歯並びを整えるだけではなく、生活習慣や発育の乱れによる根本的な原因にアプローチする治療です。
現代の子どもたちは、やわらかい食事やスマホ・アレルギーなどの影響で、口呼吸・低位舌・頬杖などの悪習癖が起こりやすく、それが顎の発達や歯並び・顔つき・姿勢・呼吸機能にまで影響を与えます。
小児矯正では、MFT(口腔筋機能療法)などを通じて、正しい舌の位置や呼吸・咀嚼の習慣を整え、歯が育つ環境そのものを改善します。
成長期だからこそ、歯並びは“自然に任せる”のではなく、“成長に合わせて導く”ことが大切です。
注意すべき歯並び
年齢によって、注意すべき歯並びは変わってきます。
注意したい子供の歯並び(〜6歳まで)
子供の歯並びの時は、歯並びを積極的に治療することが目的ではなく今後の顎の発育を正常に導くことが目的になります。
その正常な成長を妨げる注意すべき噛み合わせが3つあります。
- 受け口
- オープンバイト
- 重度叢生
このような3つの歯並びの場合は、早めに矯正の知識を持った歯科医師に診てもらうようにしましょう。
子供の歯並びの時に空隙歯列(すきっぱ)で有ることは、必ずしも悪いことではないです。
大人の歯と子供の歯を比べると、基本的には大人の歯の方が大きいのです。
大人の歯が並ぶためのスペースが有るので、定期検診でかみ合わせをチェックしながら1期・2期治療が必要か見極めましょう。
注意したい子供の歯並び(6〜12際まで)
①下の前歯の生え替わり
下の前歯の生え替わりは、子供の歯が残ってしまうことが多いです。
なぜかというと、昇りのエスカレーターのように後ろから大人の歯が生えて来るから子供の歯の根っこが十分に吸収することが難しいのです。
ご飯が食べづらい場合は、歯医者さんで抜いてもらうようにしましょう。
②上の前歯の生え替わり
上の前歯は、生え変わりの時に外の方向に向いて生えてくることが多いので正中離開になるケースが多いです。
このスペースは、3番目の歯(犬歯)が生えて来る時に閉じながら生えて来てくれるのでスペースが閉じる可能性があります。
定期検診の時に、スペースが閉じそうかチェックしてもらうようにしましょう。
③前歯のガタガタ
前歯の生え変わりの時に、すでに大人の前歯4本が前後にガタついている場合は要注意です。
前歯4本の生えるスペースがない状態で、側方歯列3・4・5番目の歯が生え替わると前歯のガタガタは自然に治ることは厳しいです。
この原因は顎が小さいこと・歯のサイズが大きいことが原因と考えられます。
治療介入は、前歯4本と6番目の大人の歯が生えたタイミングで行います。
このタイミングを逃すと顎を広げることは難しいです。
理由としては3・4・5番目の歯が子供の歯のタイミングで矯正を行わないと、生えている途中の永久歯に力をかけて顎を広げることになるので永久歯の歯根が短くなる可能性があります。
それを避けるため、介入出来る時期が限られてしまうので定期的な検診を受け治療タイミングを逃さないようにしましょう。
この機会を逃すと、永久歯列に置き換わってからの成人矯正として矯正治療を開始することになります。
歯並びが悪くなってしまう原因
歯並びに影響を与える子どものクセ
- 指しゃぶり:オープンバイト・出っ歯になるリスク
- 物をかじる:物をかじる:オープンバイト・出っ歯になるリスク
- 口呼吸:上顎歯列狭窄・上顎前突のリスク
- 舌突出癖:上下顎前突・歯列狭窄のリスク
- 頬杖:顎変形症・交差咬合のリスク
- 咬唇癖:下顎劣成長・上顎前突・開口のリスク
※ここでポイント!
指しゃぶりは、なるべく早い時期にやめたほうが良いですが、1・2歳では、“止めようね”と言っても理解できない年齢なので3歳頃を目安に介入を行い6歳までには必ず卒業しましょう。
どうしても卒業できない場合は、指しゃぶりしてしまう指の爪に好きなキャラクターシールを貼ってあげたりすると良いです。
当院の小児矯正
子供の矯正は、歯を並べることが最終目的ではありません!
目的は、歯並びが悪くなることを防ぐ予防矯正、不正咬合の発生原因を抑制する抑制矯正により、大人の歯の生え変わりがスムーズに行われるように正常な顎の成長を促すことです。
6歳までの乳歯列が将来の歯並びを決めるカギです
6歳までの乳歯列期には、一見きれいに見えても“将来の歯ならび”に関わる重要な兆候が潜んでいます。
特に注意したいのは、乳歯のすき間がない・噛み合わせが深い・前歯が当たらない・上下の真ん中がズレているなどです。
すき間のない乳歯列
すき間のない乳歯列は、永久歯が並ぶスペースが不足しているサインです。
乳歯より永久歯は大きいため、きれいに並ぶには乳歯の時点である程度の“すき間”が必要です。
ピッタリ揃っている乳歯列は、一見良さそうに見えても将来的に叢生(デコボコ)のリスクがあります。
前歯が噛み合わない(開咬)・深い噛み合わせ(過蓋咬合)
これらは舌の癖や指しゃぶり、口呼吸、やわらかい食事など生活習慣が影響していることが多く、放置すると顎の成長や発音、呼吸機能にも影響を与える可能性があります。
上下の前歯の中心がズレている
噛む力の左右差や頬杖などの癖が関係していることもあります。
これも成長とともにズレが大きくなることがあるため、早期の確認が大切です。
治療期間
小児矯正は、歯並びが悪くなる原因と成長の問題と、様々な要因によって期間が違います。
お子さんの年齢や歯並びによって適切な方法と期間をご説明します。
◆時間がかかるケース
開咬、骨格性の問題
◆時間がかからないケース
歯性反対咬合、正中離開
治療の流れ
お口の診査を行い、矯正治療の必要性や矯正治療の一般的な流れについて、ご相談させていただきます。
不正咬合の状態を詳しく知るために、歯の型、歯や顔の写真、あごや頭蓋のレントゲン写真など、診断に必要な検査を行います。
それらの資料を分析し、診断結果および治療方法、使用する装置、治療期間などについて、具体的にご説明させていただきます。
◆1期治療
永久歯が生えそろうまでの時期に行う治療です。
顎の成長を見極め、永久歯が生えそろうまでの時期に行う治療です。
また、顎の成長を阻害するような歯並び因子・習慣の改善を行います。
1期治療終了した際には、定期的に受診していただき、2期治療開始までの間に矯正した顎・歯列が後戻りしていないか、また正常に永久歯列に置き換わりが進んでいるかをチェックします。
◆2期治療
永久歯列になってから、歯並び・噛み合わせを治していきます。
1期治療から継続的に介入していることで、顎の成長が正常に促されていると抜歯矯正を行うリスクが低減されます。
よくあるご質問
- まだ乳歯しかないのに歯ならびって気にする必要ありますか?あります。
永久歯がきれいに並ぶには、乳歯の時点で“すき間”が必要です。
すき間がない乳歯列は、将来のデコボコ(叢生)リスクが高いため、早期のチェックがおすすめです。 - いつから小児矯正を始めるべきですか?目安は5〜8歳頃ですが、最適なタイミングは歯並びや癖、成長段階によって異なります。
正しい時期を逃さないためにも、なるべく早く専門的な診断を受けると安心です。 - 癖(指しゃぶり・口呼吸・頬杖)は歯並びに関係ありますか?大いに関係します。こうした癖は顎の成長や歯の位置に影響し、不正咬合の原因になります。
矯正治療と同時に生活習慣の改善も行うことが、効果を高めるカギです。 - 小児矯正って結局あとでまた矯正することになるんじゃないですか?成長のコントロールによって「抜歯を回避できた」「期間が短縮できた」など多くのメリットがあります。
中には第2段階が必要なケースもありますが、内容と負担は大きく変わります。

著者:西垣 友裕
◆所属学会:日本歯周病学会
◆参加勉強会:
アストラテックインプラント研修会
ノーベルバイオケアインプラント研修会
ストローマンインプラント研修会
東京SJCD (日本臨床歯科学会)ベーシックコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオアドバンスコース
エムドゲイン歯周組織再生療法コース
Ivoclar Vivadent I P S Empress コンポジットレジン審美修復コース
IPRT 歯周再生療法マスターコース
その他多数の勉強会・ウェビナーに参加
◆海外の勉強会
EUROPEAN ASSOCIATION OF OSEEOINTEGRATION (ヨーロッパインプラント学会) Paris
ITI (インプラント学会) World Symposium Switzerland Basel
AAP(アメリカ歯周病学会) San Diego
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