インプラント周囲炎

インプラントは
歯周病の抵抗性が
弱いことを知っていますか?

インプラント周囲炎とは? 

 

インプラントは天然歯と違い、歯肉と直接結合していません。
そのため、細菌がポケット内に侵入しやすく、歯周病に対する抵抗力が低い特徴があります。
これにより、インプラントの周囲に炎症が起こる 「インプラント周囲炎」。

(※インプラントの歯周病が発生することがあります。)

インプラント周囲炎が進行すると、骨が吸収され、最悪の場合、インプラントが脱落するリスクがあります。
しかし、早期に適切な治療を行えば、インプラントを維持できる可能性が高まります。

インプラントが歯周病になりやすい理由

天然の歯の根っこと歯茎は、繊維で結合しているため、細菌の侵入を防いでくれます。
しかし、インプラントにはそれがないため、日々のケアがより大切になります。
インプラント治療は終わった後も、自宅でのケアと並行して歯科医院でのメンテナンスが必要です。

インプラント周囲炎の
早期発見チェックリスト

インプラントを長く健康に保つために、次のような症状がないか セルフチェック してみましょう。

ひとつでも当てはまる場合は、インプラント周囲炎の可能性があります。
放置すると症状が悪化し、インプラントの脱落につながることもあるため、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう!

インプラント周囲炎を防ぐために

インプラントを長持ちさせるためには、 予防とメンテナンス が最も重要です。

 

◆定期的な歯科検診を受ける
レントゲンなどで骨の状態をチェックし、初期の段階で対策をとることが大切です。

 

セルフケアを徹底する
適切な歯磨きや、歯間ブラシ・フロスを使用し、インプラント周囲を清潔に保ちましょう。

 

◆喫煙を控える
喫煙は血流を悪化させ、歯周病のリスクを高めます。
禁煙することで、インプラントの健康を守ることができます。

インプラント周囲炎の
治療の流れ

インプラントを残すための治療方法(CIST分類)

インプラント周囲炎の治療は、炎症の進行度に応じて CIST(インプラント周囲炎の治療プロトコル) に基づいて行います。


◆軽度 なら、 クリーニングや抗菌処置 で改善可能!
◆中等度 なら、 外科処置や骨再生療法 が必要!
◆重度 になると、 インプラントの除去が必要になる可能性が高い!


詳しく流れを説明いたします。

インプラント周囲炎の診断
(診断料 自費:¥33,000)

治療を始める前に

インプラント周囲炎の治療を行うためには、 使用されているインプラントのメーカーや種類 を把握することが重要です。
治療を受けた歯科医院がわかる場合は、 事前にインプラントの情報を確認しておくと、スムーズに診断・治療を進めることができます。
もし、インプラントの種類が不明な場合は、 当院にてレントゲンの写真からインプラントメーカーを推測し、メーカーに直接問い合わせて製品状況を紹介する作業から始まります。
インプラントはメーカー製品ごとに細かくパーツやインプラントをメンテナンスするドライバーが異なります。
よって、インプラントのメーカーと製品を完全に特定しないと治療を開始できません。

治療を進めるための
3つのポイント

①インプラントの埋入位置は適正か?

レントゲン写真・3DのCT画像を用いることで適正な位置にインプラントが埋入されている事を確認します。


②インプラントが破損していないか?

インプラントのパーツを分解洗浄を行います。
その上でインプラントのパーツに損傷がないか顕微鏡で確認して、継続使用に問題ないか確認を行います。


③骨の吸収度合いはどの程度か?

インプラントのポケットの深さ・排膿の有無。
骨吸収の度合いを複合的に判断します。

これらを総合的に判断し、 インプラントを保存する治療 を行うのか、 インプラントを除去するべきか を相談の上で決定します。

軽度のインプラント周囲炎

◆症状

・歯茎の軽い腫れや赤み
・歯磨き時の出血
・軽度のプラークや歯石の付着

 

◆料金

保存的治療 自費:¥11,000

01 プラーク・歯石の除去
(スケーリング)

専用の器具(超音波スケーラー・キュレットなど)を使用し、インプラント周囲の歯垢や歯石を徹底的に除去します。

02 抗菌療法
(消毒・抗生剤の塗布)

ポケット内を クロルヘキシジン などの消毒液で洗浄し、細菌の繁殖を防ぎます。
必要に応じて、 抗生物質の塗布や内服薬(抗生剤) を処方し、炎症を抑えます。

03 分解・超音波洗浄

インプラントのパーツ撤去を行い、汚染物の除去・超音波洗浄・表面研磨を行い再度装着することで、通常のクリーニングでは手が届かない部分の洗浄を行います。

中等度のインプラント周囲炎

◆症状

・歯茎の腫れ・強い出血
・インプラント周囲からの膿の排出
・骨の吸収が進行している(レントゲン検査で確認)

 

◆料金

外科的治療 ¥33,000〜77,000

01 歯周ポケットの徹底清掃

局所麻酔 を行い、通常のスケーリングでは取り除けない 深い歯周ポケットの歯石や細菌 を、専用の器具で徹底的に除去します。

02 フラップ手術
(歯肉剥離掻爬術・角化歯肉
移植術)

歯肉を一部切開し、感染した組織を直接取り除くことで、炎症の原因を根本的に除去します。
感染した歯肉を切除することで、ポケットの深さを浅くし、細菌が溜まりにくい環境を作ります。
角化歯肉がないと、歯ブラシでの清掃性が悪い。

03 再生療法
(必要に応じて)

すでに骨が吸収している場合は、 骨の再生治療(GBR:Guided Bone Regeneration) を行うことがあります。
骨補填材(人工骨など)を使用し、インプラント周囲の骨の再生を促します。

重度のインプラント周囲炎

◆症状

・インプラントがグラついている
・歯茎が大きく退縮し、インプラントの金属部分が露出している
・骨の吸収が進み、インプラントを支えられなくなっている

 

◆料金

インプラント除去 
保険治療:¥3,000程度
再生療法とインプラント治療
自費治療:¥500,000〜700,000
程度

01 インプラントの除去

局所麻酔 を行い、専用の器具で インプラントを慎重に取り外します。
インプラントの除去後、感染した組織を取り除き、骨の状態を整えます。

02 骨の回復を待つ
(骨再生治療)

インプラントを除去した部位に 骨補填材を使用し、骨の再生を促します。
骨の回復には 数ヶ月〜半年程度 の期間が必要になります。

03 再インプラント or
他の治療法を検討

骨が十分に再生した場合、 再度インプラント治療を行うことが可能 です。
しかし、骨の回復が難しい場合は ブリッジや入れ歯 などの代替治療を検討することもあります。

著者画像

著者:西垣 友裕

◆所属学会:日本歯周病学会
◆参加勉強会:
アストラテックインプラント研修会
ノーベルバイオケアインプラント研修会
ストローマンインプラント研修会
東京SJCD (日本臨床歯科学会)ベーシックコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオアドバンスコース
エムドゲイン歯周組織再生療法コース
Ivoclar Vivadent I P S Empress コンポジットレジン審美修復コース
IPRT 歯周再生療法マスターコース
その他多数の勉強会・ウェビナーに参加

◆海外の勉強会
EUROPEAN ASSOCIATION OF OSEEOINTEGRATION (ヨーロッパインプラント学会) Paris
ITI (インプラント学会) World Symposium   Switzerland Basel
AAP(アメリカ歯周病学会) San Diego